秋葉原にある、興行ビザ、
芸術ビザ専門の行政書士事務所

『佐藤正文の頭の中』(第1回)

 で、結局、ビザ申請ってお金を払って行政書士に頼んだ方がいいの?

 これは、難しい質問です。長年、お金をもらって仕事でビザ申請をやっていますが、ビザって「自分で、できるようで出来ない」「出来ないように思えるけど、できる」と何ともつかみどころがないのがビザ申請です。

 本人申請で我流の申請を続けていて、ちょっとしたミスで入管から追加資料が来た、不許可になり行政書士に相談に来るケースが多々あります。今までの申請書類を見て、本人に話を聞くと、「聞きかじりの知識で申請をしてしまった。」などのケースに遭遇します。事態がこじれてから行政書士に依頼しても時に良い結果にならないこともあります。一方、申請が難しそうに見えてもポイントを押さえれば、それほど難しくない場合も多いです。

 自分でやるか、行政書士に依頼したほうがいいかの見極めが本当に難しいです。それは何故か?入管法の決まりに原因があります。

 入管法では、日本に入国・滞在したい外国人は入国目的や活動内容について「自ら立証しなければならない」となっています。外国人本人に、自分は何の目的で来日して、どこで何をするかなど日本語による詳細な説明責任を外国人に負わせています。審査官はその説明を聞いてビザの許可不許可の判断材料の一つにしています。

 次に、入管法は社会状況の変化をビザ審査に迅速に反映させるために入管に幅広い裁量を認めていますので、外国人の説明やアピールを、プラスに受け止めるかマイナスと考えるかは、その時代の入国管理政策や政権の方針、入国管理局の審査官の心証にも左右されます。


 また、ビザはそもそも先渡しなのです。提出された書類や入管が持っている過去の情報をもとに未来を予測して「この人は、5年許可をしても問題なかろう。」、「この人は1年許可にしよう。」、「申請内容が疑わしいから、不許可処分にする」となることがあります。そもそも、未来は誰にも予想できないのですが、予想できないことを予想して許可不許可が決まるのがビザ審査です。

 最後に、ビザは許可か不許可の2つに1つです。裁判のように一部勝訴も半分だけビザ許可もありません。ですから許可は天国、不許可は地獄です。

 ビザの難しさがここにあります。

 ビザ申請はとらえどころがなく、私は常々ビザは妖怪「ぬらりひょん」だと思いますよ。 

 『佐藤正文の頭の中』では、佐藤正文の仕事への取組み、心構え、感想、日ごろ考えていることなど、つれづれなるままに、ひぐらしパソコンにむかい、心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書き綴ります。

第6号
2021年(令和3年)7月18日
執筆者 行政書士 佐藤正文

東京都千代田区に事務所があるエンタメ、芸術ビザを専門にしている行政書士事務所です。日本で興行ビザ申請の件数が一番多い行政書士と自負しています。

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