『佐藤正文の頭の中』第1回でビザ申請は「妖怪ぬらりひょん」みたいで、とらえどころがないと書きました。日々ビザ申請をしている行政書士がそう感じているのですから、一般の方とっては尚更でしょう。これは考え方なのですが、入管に広範な裁量があるということは、やり方によってはビザが取れる可能性ありとも言えます。だからこそ、ビザをゲットする行政書士のような仕事が存在するのでしょう。
本人(招聘会社、雇用元の会社)から依頼されて、ビザの取次申請(代理申請)をする職業は日本では行政書士が行っています。行政書士と同じような職業は、私が知っている限りですが、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランスにもあります。
アメリカでは、同時多発テロ以降アメリカのビザ審査がとても厳しくなり、もはや自分では手に負えず基本的に皆さんVisa Lawyer(ビザ弁護士)にビザ申請を依頼すると聞いたことがあります。オーストラリア、フランスやイギリスも就労ビザを取るのが大変でお金を払ってImmigration Lawyer(移民法弁護士)に頼むらしいです。
外国の人が自分で何度か入管に相談に行って「審査官によって言っていることが全然違う!」と怒ることがありますが、微妙にぶれることがあるのは事実ですが、審査官による見解の相違はそんなに大きくありません。また、東京と大阪や名古屋の取扱いも微妙に違います。
興行VISAに関しても、やはり取り扱いは微妙に違います。「仙台入管と大阪入管ではこの書類で良かったけど、なんで東京はダメなの?」と顔見知りの東京入管の興行担当者に聞いたことがあります。東京の興行担当者曰く、「佐藤さんに言うように入管は国の組織だから、全国一律の書類で審査をすべきとの考えは正しいと思う。だけど、地方ごとにその地域が置かれている実情が違うから、地域事情を反映した書類を求めることは審査官が持っている裁量の範囲内だと思うよ。」と言われたことがあります。
『佐藤正文の頭の中』では、佐藤正文の仕事への取組み、心構え、感想、日ごろ考えていることなど、つれづれなるままに、ひぐらしパソコンにむかい、心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書き綴ります。
第13号
2021年(令和3年)7月25日
執筆者 行政書士 佐藤正文