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外国人の収容案件(その3)

8月18日のメディア報道によると名古屋入管でスリランカ人女性が亡くなった件について、遺族が入管に関連文書の情報開示請求をしていたところ、文書が開示されたそうです。しかし、文書のほとんどが黒塗りであったと公表しました。

文書の黒塗りは、入管の組織防衛が原因でしょう。実務をやっている身としては、入管はそんな役所です。オーバーステイ外国人は全件収容が原則であり、強制送還が大前提です。そして、仮放免中に本人が行方不明になると強制送還できませんから、入管は仮放免を出すことに慎重になります。

入管法では、オーバーステイになったら強制送還に向けて複数回の事情聴取が実施されます。本人が引き続き日本滞在を希望する場合、最終段階の法務大臣決裁でオーバーステイなったことは事実であるが、諸般の事情により在留特別許可を認める=正規在留者としてビザを発給します。

一旦強制送還のルートに乗ったら、これが逆向きに進むことはありません。入管法上、強制送還手続きは、送還に向けて一方向にしか進みません。もしビザ発給をする場合、最終段階で特段の事情を考慮して、特別に在留を許可するのが在留特別許可なのです。

このような問題が二度と起こらないように、8月20日に入管内部に「改革プロジェクトチーム」を立ち上げるそうです。法律改正をせず、どこまで実務上の取扱いに変化があるのか見極める必要があるでしょう。

『佐藤正文の頭の中』では、佐藤正文の仕事への取組み、心構え、感想、日ごろ考えていることなど、つれづれなるままに、ひぐらしパソコンにむかい、心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書き綴ります。

第44号
2021年(令和3年)8月22日
執筆者 行政書士 佐藤正文

東京都千代田区に事務所があるエンタメ、芸術ビザを専門にしている行政書士事務所です。日本で興行ビザ申請の件数が一番多い行政書士と自負しています。

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