秋葉原にある、興行ビザ、
芸術ビザ専門の行政書士事務所

入管法の解釈

『佐藤正文の頭の中』です。今日は、入管法をどう考えるかについて書きます。結論を先に書きますが、自分に有利に入管法を考えることは危険ですから注意してください。許可不許可を決めるのは入管です。審査官がどう考えるかに思いを巡らし、申請書類を作成をしてビザ申請をして下さい。

常時飲食提供をしているライブハウスでお客さんを入場させて公演活動とその様子をDVDに収録して販売ケースを考えてみます。入管法では、飲食提供施設で歌唱活動をすることは基準1号になり、DVD収録は基準4号です。両方の活動に当てはまりますので招聘会社は、審査基準の緩い基準4号で申請をしました。

申請結果は、不許可になると思われます。入管は、主たる活動はライブハウス公演であり、従たる活動として基準4号に定めるDVD収録が行われると考えることが社会通念上妥当だと判断するはずです。

この事例から皆さんは何を考えますか?

既に会場費も支払い、ファンへ告知済み、来日が迫ってギリギリでビザ申請をしたため焦ってしまった。来日が近づくとビザ以外のことも同時並行して進めなければならず、人間ですから余裕がなくなり、正常な判断が出来なくなることだってあります。

私たちは自分たちの有利になるように入管法を解釈する傾向があります。許可を出すのは入管です。入管がどのように入管法を解釈し、実際にどう運用するかについては常に感度高く把握しておく必要があります。

なるほど、日本は民主主義国で法治国家ですから、裁判で決着をつけることができます。裁判までいかなくても入管の審査官と議論を戦わせることもできるでしょう。しかし、興行は来日スケジュールが決まっていることがほとんどです。審査官と法律論争をしている時間はないです。審査官によっては、「会社さんのおっしゃっていることは分かります。しか、入管はこのように考えていますから、このまま審査をすすめても結果的にそちら様のご希望に添えない結果になる可能性がありますが、それでも宜しいでしょうか?」と言われるでしょう。けっして我流の入管法解釈にならないようにして下さい。

日々ビザ申請をしていて入管の考えに疑問を持つこと、おかしいと思うことがあります。しかし、興行ビザは時間との勝負で、不許可になったら外国人は来日できません。興行は来日できないことの損失がとてつもなく大きいのです。自分の正当性を主張することも必要ですが、ぐっと不満を飲み込んでビザをゲットする、大人の対応を求められるのが興行ビザ申請なのです。

『佐藤正文の頭の中』では、佐藤正文の仕事への取組み、心構え、感想、日ごろ考えていることなど、つれづれなるままに、ひぐらしパソコンにむかい、心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書き綴ります。

第36号
2021年(令和3年)8月25日
執筆者 行政書士 佐藤正文

東京都千代田区に事務所があるエンタメ、芸術ビザを専門にしている行政書士事務所です。日本で興行ビザ申請の件数が一番多い行政書士と自負しています。

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