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難民認定(その3)

日本は、ヨーロッパのように人種や民族が混じりあい、アメリカやオーストラリアのような移民国家とは違います。単一民族(在日コリアン、アイヌなど少数民族がいますから、正確には単一民族ではないかもしれませんが)であり、外国人を受け入れた歴史的経験が少ない国ですから、難民の受け入れに消極的なのは分かります。しかし、難民認定で日本国がやっていることは世界の流れから離れていますし、どこか他人事で難民受け入れの本気度を感じません。

数年前、安倍前総理大臣は国際会議でシリア人留学生を受け入れることでお茶を濁し、シリア難民を積極的に受け入れることを表明しませんでした。シリアと日本は地理的文化的に遠い関係にありますが、難民キャンプで先が見通せない生活よりも、日本行きを希望するシリア人がいたかもしれません。

例えば、安倍前総理大臣が、国際会議で世界に向かって高らかにシリア難民1万人の受け入れ、すぐに飛行機を飛ばして日本に来たいシリア人を受け入れます、と宣言できていたら長期的には、日本の地位を確実に向上させるはずです。

難民の本格的な受け入れには将来的には法律や組織の見直しが必要でしょうが、現行の体制でも難民の受入れを増やすことは十分に可能と考えています。それは、ベトナム戦争の時のインドシナ難民の受け入れ、中国残留孤児の受け入れ経験があるからです。

政治家が大号令をだして各省庁や地方自治体、各種団体、民間企業などを巻き込めばできるはずです。日本の役所が大好きな難民受け入れの前例もあります。組織、国家の理屈が優先して困っている人に寄り添えない日本は冷たく悲しい国です。

世界では、国情の違いから難民、移民、亡命などが身近な問題であり、一方、日本はこれらの問題に直面しないから、難民に対しての当事者意識が希薄なのかもしれません。しかし世界は一体化していますから日本だけ良ければいいではなく、困った人たちに寄り添う姿勢も大切ではと思っています。

『佐藤正文の頭の中』では、佐藤正文の仕事への取組み、心構え、感想、日ごろ考えていることなど、つれづれなるままに、ひぐらしパソコンにむかい、心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書き綴ります。

第56号
2021年(令和3年)9月17日
執筆者 行政書士 佐藤正文

東京都千代田区に事務所があるエンタメ、芸術ビザを専門にしている行政書士事務所です。日本で興行ビザ申請の件数が一番多い行政書士と自負しています。

難民認定(その2) 興行に係る契約書

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