日本は難民認定の条件がとても厳しく、難民認定数は先進国のなかでも非常に少ない国です。
2018年1月14日以前は、難民申請をすれば半年間の就労が認められており、難民申請の結果が出るまで就労することができました。実際にうちの事務所にも難民申請の依頼が何件もあり、お会いして話を聞きました。お客さんが通訳さんを連れてくることもありましたが、難民認定の面談内容は込み入っています。それなので、このような日本語の単語をその国の言葉に翻訳した紙を見せながら、慎重に話を聞きます。
迫害、恐怖、戦争、犯罪、暴動、逮捕、避難、侵害、貧困、病気、政権批判、政治、暴力、犠牲、命、部族、人種、差別、誘拐、保護、無国籍、強奪、緊急、危機、テロ、少数民族、爆撃、食糧難、苦しみ
これらの単語は、難民を考えるときに当てはまる言葉です。相談者が「自分はこれになる」と指した単語ついて、そう考えた理由、背景、状況を詳細に聞き取るのです。
「本国に帰ると日本留学のために借りた借金を返す必要があるから怖くて帰れない。」
「留学費用が工面できず専門学校を退学した。日本にいたいから難民申請をしたい。」
「実習先から逃げてきたけど、難民申請できますか?」など、うちの事務所に来た人はいずれも難民とは違うケースでした。
当時は、東京入管の難民申請のフロアに行くと、難民申請者であふれ、皆さん床に座って申請の順番を待っていました。
日本で働く手段として難民申請が使われたため、入管は2018年1月15日から就労目的の偽装難民対策として難民認定の審査を厳しくしているため、難民申請をする外国人の数は激減しています。
『佐藤正文の頭の中』では、佐藤正文の仕事への取組み、心構え、感想、日ごろ考えていることなど、つれづれなるままに、ひぐらしパソコンにむかい、心にうつりゆくよしなしごとを そこはかとなく書き綴ります。
第54号
2021年(令和3年)9月14日
執筆者 行政書士 佐藤正文